2007年10月18日

炎は麻帆良の地に踊る 第十七話

団子屋で鶴子と分かれ、そのまま今日から泊まる予定の旅館へ移動した俺は、
すぐさまチェックインを済ませ、部屋で横になっていた。
ちなみに俺の部屋は修学旅行の連中とは別の棟だ。




炎は麻帆良の地に踊る  第十七話


そして夕刻。部屋でぼうっとしていると、携帯が鳴り出した。
表示を見ると、桜咲の名前が出ていた。

「もしもし、桜咲か?」

『そうです。こちらはこれから夕飯まで自由行動なのですが』

「そうか、なら今から俺の部屋に来れるか?」

『はい、大丈夫です』

「ならネギ先生と一緒に来てくれ。部屋は別館の303号室だ」

『ネ、ネギ先生ですか……?い、今はちょっと………』

なんだ?妙に歯切れが悪いな。

「何があったか知らんが、取り合えず連れて来てくれ。今後の打ち合わせをしなくちゃだからな」

『はぁ、分かりました』

「じゃ、待ってるから」

ピッ

さて、取り合えずこれでよし、と。
しかし、ネギ先生が一体どうしたってんだ?
まあいい。来ればわかるだろ。


そして待つこと数分。


コンコン

「楠さん、桜咲です」

お、来たか。

「どうぞ〜」

「失礼します」

桜咲とネギ先生、その肩には喋るオコジョ、それに明日菜って子もいる。さらに………

「ちょっと待て、なんでお前らまで来るんだ?」

何故か真名ちゃんと長瀬が来ていた。

「何でとはひどいな。私たちも手伝おうと思ってね」

「そうでござる。及ばずながら、拙者も力になるでござるよ」

などと言いながら部屋に入ってくる二人。

「おいおい、桜咲は兎も角、お前ら二人は関係ないだろ」

「私もそう言ったのですが……」

どうやら先に桜咲が説得に失敗していたようだ。

「……まぁいいや。二人なら結構な戦力になるだろうし」

「仕方ありませんね」

桜咲と頷き合って、

「それで、えっと、そこの君」

「私?なに?」

「いや、まだ自己紹介してなかったと思ってな。俺は楠陸斗。学園長からの依頼で
これから君たちのサポートをすることになったんで、よろしく」

「あ、そう言えばそうね。私は神楽坂明日菜。一応ネギの従者って事になるのかしら」

「そっか。じゃあ神楽坂。ひとつ聞きたいんだが」

「……何?」

どうやら俺の聞きたいことが分かったようだ。

「そこのちびっ子はさっきから一体何をあわあわしてるんだ?」

さっきから意識的に見ようとしてなかったのだが、いい加減どうにかしないと
話が先に進まない気がして、仕方なく突っ込んだ。

「はぁ………それが、クラスの子に告白されたのよ」

「は?告られた?」

おいおい、まだネギ先生は十歳だぞ。

「それでこんなに混乱してんのか」

「そうなのよ………」

『まぁ兄貴はまだ十歳だしな〜。無理も無いだろ』

ため息交じりの神楽坂とオコジョが相槌を打つ。
まぁ高々十歳の子供が好きだのなんだの言われりゃ混乱もするか。

「って、そういや、そこのオコジョ」

『なんだい?』

「名前なんていうんだ?まだ聞いた覚えが無いんだが」

『おっと、オレっちとした事が。オレっちの名前はアルベール・カモミール。気軽にカモって呼んでくんな』

「それじゃカモ。取り合えずこのガキんちょをなんとかしてくれ。じゃないと話が進まん」

『そう言われてもな………』

どうやらカモの手には余るらしい。
やれやれ、仕方ない。俺がなんとかするしかないか。

「おい、ネギ先生!」

「あわあわあわあわ……はっ!えっ!?陸斗さん!?なんでここに!?」

「ようし、取り合えず落ち着け。ここは俺の泊まってる部屋だ」

「えっ?陸斗さんの部屋?なんで?」

いい感じに混乱してるな。

「これから修学旅行中は君のサポートをすることになったんだ。
だからこの旅館に部屋をとっている」

「はぁ、そうなんですか………」

まだよく状況を把握できていないみたいだな。

「昨日このかちゃんが襲われたんだろ?だから学園長が俺に依頼してきたんだよ」

「えっ!?本当ですか!?」

「ああ、だからネギ先生も色々あるだろうが、取り合えず今は話を聞いてくれ」

「はい、分かりました」

ようやく落ち着いたか。これでやっと話ができるな。

「で、早速だけど、夕べのことを聞きたいんだが」

「はい、それでは私から」

そう言って桜咲が説明を始めた。



「───成程、敵は呪符使い、神鳴流、それから不気味なガキが一人、か………」

その内、実際にこのかちゃんを誘拐したのは呪符使いの女らしい。

「それで、実際に戦ってみてどうだった?」

桜咲に聞いてみた。他の二人ではそういうことは分からないだろうからな。

「そうですね、呪符使いのほうは、術はかなりのものがあると思いますが、戦闘に関しては
それほど脅威とは言えませんね。ただ、まだ切り札らしき物を持っているらしかったので
油断はできません。それから月詠という神鳴流の剣士は、正直言ってやりづらいです」

「ほう、どんな風に?」

「奴の剣は完全に対人戦に特化されています。技だけでなく、体のこなしや技のつなげ方等、
相当な訓練を積んだようで、淀みなく洗練されていました」

ギリッ、と歯をかみ締める桜咲。本来、人に仇なす妖魔を滅するための剣を
人を殺すために使われているのが悔しいのだろう。

「それで、最後の白髪少年ってのは?」

「分かりません。実際に戦ったわけではないので。ただ……」

「ただ、なんだ?」

「恐らくですが、私よりかなり腕が立つと見ました」

「何?」

「本当でござるか?」

それまで黙って話を聞いていた真名ちゃんと長瀬が反応した。

「どうした、二人とも」

「いや、はっきりそうだとは言えないんだが、私たち三人はほぼ同程度の実力なんだ」

真名ちゃんが答える。

「そのうちの一人、刹那が太刀打ち出来ないとなると………」

成程、状況は厳しいか。

『確かに、あいつの雰囲気は尋常じゃなかったな』

「まあそれについては後で作戦を考えよう。で、明日の予定はどうなってるんだ?」

「あ、はい。明日は完全自由行動なので、僕は朝から抜け出して親書を渡しに行くつもりです」

「で、私もついていくつもり」

ネギ&神楽坂コンビは親書を渡しに行くのか。

「桜咲は?」

「私はお嬢様と一緒に京都観光をします」

「あれ?このかちゃんは連れて行かないのか?」

確か実家だろ?あそこって。

「実はお嬢様の父君、詠春様の意向でお嬢様には魔法関係のことは一切知らされていないのです」

「あ、そうなんだ。じゃあ仕方ないか。んで俺は当然ネギ先生についていくから──」

ギュピーーン☆

「「それじゃあ、私(拙者)も!!」」

うおっ、ビックリした。

「ちょ、ちょっと落ち着け、二人とも」

何こんなにムキになってんだ?

「二人には桜咲に付いててもらおうと思ってたんだが……」

「「どうしてだい(でござるか)!?」」

二人してすごい剣幕で詰め寄ってきた。

「いや、だから、親書を渡すだけでそんなに人手割いてもしょうがないだろ。
逆に護衛の方は用心しすぎる事はない」

「そ、それはそうだが……」

「それにもしこのかちゃんの方に例の白髪の少年がきたらどうすんだ?
さっきの話だと桜咲一人だと荷が重いんじゃないか?」

「「……………」」

「戦わずに逃げるつもりでも、護衛対象を連れて逃げるのは至難だぞ。
ましてこのかちゃんは事情を知らないんだろ?」

俺の言葉に桜咲が頷く。

「なら尚更だ。であればこのかちゃんの護衛に人数を割くのは当然だ。
頼むからここは俺の言うことを聞いてくれ」

二人に頭を下げる。

「……わかったでござる。ここは陸斗殿の言うことに従うでござるよ」

「私もだ。我侭を言って済まなかったね、陸斗さん」

よかった。二人とも納得してくれたようだ。

「ああ、ありがと。それにしてもどうしてそんなにこっちに着いて来たがったんだ?」

「「そ、それは………」」

「ん?どした?二人とも。顔が赤いぞ。大丈夫か?」

「い、いや、大丈夫だよ」

「そ、そうでござる……」

「そうか。あっ、もしかして二人とも──」

ビクッ!

「そんなに呪術協会の本山が見たかったのか?」

それを言うのが恥ずかしかったとか?

「「………はぁ」」

な、なんだ、二人して溜息なんて吐いて。

「ねぇ、刹那さん。楠さんってもしかして………」

「ええ、恐らくあれが素なんでしょうね……」

な、なんだよ。そこの二人まで。

「ネギ先生、なんでみんな溜息吐いてるかわかるか?」

「い、いえ、僕にはさっぱり……」

二人で頭をひねるがさっぱり分からん。

『ケケケ、旦那もまだまだ修行が足りないね〜』

くそっ、なんかあのカモの笑い方が非常に気に食わんぞ。

「ま、まあそれはいいじゃないですか。それより今日はこの後どうしましょう?」

桜咲の言葉で脱線した話が元に戻った。

「そうだな。とりあえず飯食った後、俺はこっちの別館の中とその周辺、
桜咲たちは本館の中の見回りをするってことにしようか」

流石に女子中学生が大量に泊まってる本館を俺がうろちょろするわけにもいかんしな。

「それがいいですね。では私たちはそろそろ部屋に戻ります」

桜咲がそう言って立ち上がると、他の連中も立ち上がる。

「じゃあな。見回り、気をつけろよ」

「楠さんも。では失礼します」

「それじゃあまた、陸斗さん」

「失礼するでござる」

桜咲に続いてみんな部屋を出て行った。
さて、飯食ったら俺も見回りに行くとするか。
それまではのんびりしてようと決め、寝転がった。





posted by 焼き饅頭 at 00:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 炎は麻帆良の地に踊る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 どうも〜、向かうとこ手品師、ノッティーです〜。
 最新話読みました。ネギは仕方ないにしても、陸斗のあの鈍感っぷり、さすが主人公って感じですねw次回もいよいよラブラブキッス大作戦らしいのでとても楽しみです。
 ところで、ひとつ気になったことが。一回全部最初から読み直してみたのですが、千鶴のフラグ立ってませんでしたっけ?保育園のところでそれっぽい態度とってたのできになってたのですが・・・。もし立ってるのならラブラブキッス大作戦が更にたのしみになりますなw

 君のぞですが、134回を聞いてからこの感想を書いたので、そっちの感想も書きます。133回は智秋のパソコンの話、確かにおもしろかったですねw智秋のっていうよりもキーやんのウィルス200個に爆笑しました。後は緊急特別企画の青木さんの絵ですね。画伯の絵は前、良くなったっていう評価をもらったのに、戻っているような気がします。やっぱり画伯はあのままでいてほしいです。134回はキーやんが頭痛いということで、覇気がなかったため、前半はそんなにおもしろくなかったです。後半の恋愛相談もいまいち何言ってるのかわからず今回は、ラストの説教部屋のみですかねw

 とまぁ、こんなとこで、長くなりましたが続きがんばってください。頭痛王子の肉棒フェスティバル、ノッティーでしたw
Posted by ノッティー at 2007年10月20日 07:26
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