2007年11月27日

炎は麻帆良の地に踊る 第十八話

夕飯を食べ終えた俺は暫く食休みした後、見回りに出かけた。
何故か分からんが、このまま宿にいるとよくない事が起こりそうな気がしたからだ。





炎は麻帆良の地に踊る  第十八話



SIDE カモ


ブン屋の姉さんと計画したその名も”ラブラブキッス大作戦”。
ネギの兄貴の従者を増やすのがその真の目的な訳だが、実はもう一つ目的がある。
それは陸斗の旦那にも従者を作る事だ。

「ねえ、カモっち。ネギ先生はいいとしても、陸斗さんは賭にできないんじゃない?」

「その辺は抜かりはないぜ。確かに旦那を賭の対象にはできないが、
俺らの本当の目的はあくまで仮契約。兄貴の賭を隠れ蓑にして、旦那にも仮契約を
してもらえばいいだけの話だ。幸い、旦那と仮契約してくれそうな連中には
もう話はしてあるし、ま、後は仕上げをご覧じろってやつだ」

もちろん旦那には秘密の作戦だが、あの二人ならうまくやってくれるだろう。

「でもなんだって陸斗さんにも仮契約させようなんて思ったの?」

「旦那は魔法使いじゃないんだが、神凪って一族の退魔師なのさ。それもメチャ強の。
そんな旦那が従者を持ったら鬼に金棒ってなもんだ。絶対に兄貴の助けになってくれる」

「ふ〜ん」

「それに、協会に登録されている魔法使い以外の人間が仮契約した場合、
通常の仲介料の他にも特別ボーナスが出るんだぜ!それも術者が強ければ強いほど
賞金も鰻登り………あわわわ、姉さん!俺ら億万長者だぜ!!」

「カモっち、それが本音だね……。まあいいわ。私としては山分けする賞金は多い方がいいし」

よしっ、オレっちの誠意ある説明で姉さんも納得してくれたし、あとは時間までのんびりするべ。



午後11時



「修学旅行特別企画!!くちびる争奪!!修学旅行でネギ先生とラブラブキッス大作戦〜〜〜〜!!」

ブン屋の姉さんの作戦開始の言葉とともに始まった、「ラブラブキッス大作戦」。
さて、一体どのくらいカードが集まるかね〜。

「さて、ここで各班の代表選手をご紹介しましょう!

 一班は悪戯の腕はピカイチだが今回はどうか?鳴滝姉妹!

 二班からは意外や意外、バカレンジャーイエローこと古菲と学年一、いや学園一の天才、超 鈴音の
 中武研の二人がエントリーしてきました!格闘戦ではダントツだが果たしてネギ先生のくちびるを奪えるのか!?

 三班の代表はまっっったくやる気が感じられない千雨選手とネギ先生への執着は周知の通り、いいんちょが当然のごとく
 参戦!今のところ人気NO.1です!

 四班は運動部の仲良し四人組から明石選手と佐々木選手!安定感は抜群だが、いまいちインパクトがないか!?

 五班からは大穴、図書館探検部の綾瀬、宮崎両選手!足りない体力をその勉強以外は切れ者といわれる頭でカバーできるか!?

以上が各班の代表選手です!さぁ、トトカルチョはまだ間に合います!詳しくは私まで!」

よしよし、なかなかの連中がエントリーしてきたな。これは期待大だぜぃ!
ところで例の二人はそろそろ行動してるんだろうかね。そっちにも期待しよう。






時間は少し遡り…………






SIDE 陸斗


なんだろう、食事の後くらいからいやな予感がしっぱなしだ。
なんていうか、襲撃があるとかそういう類のものじゃない。
もっと、こう、なんていうか、よくわからんが俺個人にとってよくないような………。
ああ、もう!さっさと見回りにでもでて気分を紛らわせよう。

【アクィ、お前は上からの監視を頼む。ループスは待機。俺は宿の中を一通り見回った後、外に出るから】

【分かりました〜】

【了解した】

さて、今の時間は……十時半ちょい前か。そんなに大きな宿じゃないから別館だけなら
大体三十分位で一通り見て回れるだろう。そんじゃ行きますか。


三十分後


当然というかなんというか、何もなかったな。それじゃ外に出るか。
今は、十一時前か。こっちも大体三十分位で終わりそうだから十一時半過ぎには終われるか。
そしたら取りあえず後はアクィに任せて今日は休む事にしよう。

「や、やぁ、陸斗さん」

「ん?ああ、真名ちゃんか。どうした?」

丁度玄関を出た所で真名ちゃんと出くわした。

「これから外の見回りかい?」

「そうだけど、真名ちゃんもか?」

「そうなんだ。よかったら一緒にどうかな?」

「う〜〜ん、ま、いっか。それじゃ一緒に―――」

「陸斗殿!」

お、長瀬か。

「おう、どした?」

「陸斗殿、もしよかったら拙者と見回りを―――」

「まて、楓。陸斗さんとはもう私が先に約束したんだ。悪いが楓は中の見回りを頼む」

長瀬の言葉を真名ちゃんが遮った。

「真名?まさかお主抜け駆けを………」

「何の事かな」

何やらわからんが二人がにらみ合っている。

「やはりお主とは一度じっくりと話し合う必要があるようでござるな、真名」

「その意見には同感だな、楓」

ふふふ、と異様な雰囲気を醸し出しながら笑いあう二人。
もはや俺の事は眼中にないらしい。

「あ〜、二人とも。喧嘩すんなら俺は一人で見回り行くぞ〜」

「陸斗さん。済まないがちょっと待っててくれないか、すぐ済むから」

「そうでござる。すぐ終わりにするでござるよ」

言いながら既に二人はそれぞれの獲物を取り出していた。
おいおい、話し合うんじゃなかったんかい?
もう止める気にもならん、やれやれだ。
巻き込まれないうちに退散しよう。

「それじゃ、周りを破壊しない程度に手加減しろよ〜」

そう言い残して俺は見回りに出かけた。
二人は聞こえていないようだったが。



SIDE カモ


「あ〜っと、とうとう犠牲者が出ました!捕まったのは三班の長谷川選手と四班の明石選手!両班のオッズが大幅にダウンです!!」

画面の中では早くも二人、見回りの教師に見つかってロビーで正座させられている。

「まあ思ったより早かったが、まだ許容範囲内だ。本番はこれからだぜ」

そう、まだまだ作戦は始まったばかりだ。

「っと、こっちばっか気にしてないで。陸斗の旦那の方はどうなったかな」

まだネギの兄貴の方は時間がかかりそうだし、ちょっと見ておくか。
外の様子を映しているカメラを見ると陸斗の旦那の姿はなく、
何故か凄まじく高レベルな戦闘をしている長瀬と龍宮の姐さん達が映っていた。

「ね、ねぇカモっち。あの二人、なにやってんだろうね………」

隣で同じ画面を見ていたブン屋の姉さんも冷や汗を垂らしている。

「と、取りあえず今はほっとこうぜ。あれに介入なんてできっこないからな………」

オレっちも命は大事にしたい。
今オレっちにできる事は二人のバトルが早く終わるよう祈るだけだ………。



SIDE 千鶴


あらあら、千雨さんは捕まってしまったのね。ふふふ、あやか達も大変ね。

「あれ?ちづ姉、こっちで一緒に見ないの?」

「ええ、私はここからでいいわ」

私は窓際にある椅子に座ってテレビを見ている。

「そっか。あんまり風に当たると風邪ひくから程々にね〜」

「ええ、分かってるわ」

夏美ちゃんの注意を聞いて窓を閉めようとした、その時。

「え?」

ここにいる筈のない人の姿が目に入った。
でも、あの人がここにいるワケがない。そう思ってよく目を凝らしてみる。

―――やっぱり、あの人だ。

なんで?と思うより先に私は行動していた。

「あれ?ちづ姉、どこ行くの?新田に見つかったら正座させられちゃうよ」

「大丈夫よ。ちょっと大事な用が出来たの。もし見つかったらちゃんと事情を説明するわ」

「ふ〜ん、そっか」

納得した夏美ちゃんの声を聞きながら部屋を出た。
咄嗟に口をついた言葉だったけど、大事な用事なのは嘘じゃない。
見つかったときは適当に誤魔化せば大丈夫よね。
そう思いながら私はさっき見た人に会うため、外へと急いだ。



SIDE 陸斗


さて、もう半分くらい見終わったかな。
それにしても―――

【なあアクィ。この魔法陣は一体なんなんだろうな?】

【さあ、どうやら西洋魔術の様ですけど僕には分かりません】

悪意のあるもんじゃ無いようだが、それにしたって宿全体を覆うように描かれている
このでかい魔法陣。一体どんな代物なんだろうねぇ。

【まぁネギ先生達が何も言ってこないんだ。ほっといても大丈夫だろう】

【そうですね。今のところ大きな問題は……あの二人くらいですし】

【………その事は言うな。折角忘れようとしてたのに】

【マスター。そういうのを現実逃避って言うんですよ】

うるさい、現実逃避の一つもしたくなるわい。
なんだってあの二人はいきなり喧嘩なんか始めたんだ?

【マスターってほんとに鈍感ですよね……】

【なんか言ったか?】

【いいえ、何にも。それじゃ僕はもうちょっと範囲を広げてみます】

【おう、なんかあったら連絡しろ】

【は〜い、分かりました〜】

アクィの気配が遠ざかる。さて、もうちょっと見て回ったら部屋に戻るか。
そう思って見回りを済ませようと歩き出したとき、

「陸斗さん?」

後ろから呼ばれ、振り向くと―――

「やっぱり陸斗さんだった。どうしてここに?」

驚いた顔をした千鶴がいた。まずい。こいつは魔法の事を知らないはずだ。どうやって誤魔化すか。

「え〜と、だな。きゅ、急に京都に来たくなったんだよ。んで学校サボって旅行に来たんだ。
そんで偶々お前らの宿と一緒になったんだ。ほ、ほんとだぞ?」

い、いかん。思いっきり不自然だ。しかし千鶴は

「そうなんですか」

と頷いてくれた。おいおい、今の説明で納得したのか?言った本人だって怪しさ大爆発だと思ったのに。
だがともかくこの話はここで終わりにしよう。突っ込まれると厄介だし。

「で、千鶴は散歩か?」

「ええ。今日は月が綺麗なのでつい」

その言葉に空を見上げると、確かに綺麗な三日月が浮かんでいた。

「そっか。だがあまり外にいると風邪ひくぞ。もう部屋に戻れ。確か新田も引率で来てるんだろ?
見つかると厄介だぞ」

「俺も見つかるとやばいし」と付け加えると千鶴はクスクスと笑って「そうですね」と頷いた。

「さて、俺もそろそろ部屋に戻るかな」

「そうですか。では私も戻ります」

玄関までは一緒に歩き、そこで挨拶をして少し離れたとき、

「危ない!!千鶴殿!!」

声のした方を見ると一本のクナイが千鶴に飛んできていた。
俺は咄嗟に千鶴に飛びついた!

ゴロゴロ チュッ ゴロゴロ

そしてそのまま三メートル位転がった。

「千鶴、怪我ないか?」

取りあえず立ち上がり、千鶴に怪我が無いか確認をとる。
が、千鶴は顔を真っ赤にしたまま俯いていた。

「どうした?どっか痛むか?」

再度の俺の問いかけにも答えず、そのまま宿の中に駆け込んでしまった。
俺はなにがなにやら分からす立ち尽くしていると

「り、陸斗殿。千鶴殿は大丈夫だったのござるか?」

「いや、よくわからん。何も答えずに走って行っちまったから」

まぁ走れたんだから怪我はしてないと思うが。

「それより、お前は後で千鶴に謝っておけよ。真名ちゃんも」

「分かってるでござる。今回の件は完全に拙者の落ち度でござる故」

「ああ、わかったよ」

さて、それじゃ俺は部屋に戻って寝るか。

「あ、あの陸斗殿。今夜の見回りは………」

「ああ、今日はもう終わりだ。いい加減疲れたし」

「「そ、そんな………」」

何故かがっくりと膝をつく二人。
な、なんだ?何をそんなにがっかりしてるんだ?

「と、取りあえずお前らも部屋に戻れ。明日はいろいろ大変だろうからな」

俺が促すと二人は無言のまま立ち上がりそのまま部屋に戻っていった。
あんな調子で明日大丈夫なんだろうか、いささか不安になってしまった。


SIDE カモ

へっへっへ。大それた作戦だった割には数が集まらなかったが、兄貴と旦那それぞれに一枚ずつ
仮契約カードゲットだぜ。特に旦那の方はあの二人以外の人間だったのが意外だったが、
それは些細な事よ。それにこのカード、なかなか便利そうだし使いようによっちゃかなり強力な切り札になるかもな。
『那波 千鶴』、アーティファクト名『ジアイノホウヨウ』か……。
こりゃあ仲介料はかなりのもんになりそうだぜっ!



posted by 焼き饅頭 at 00:22| Comment(7) | TrackBack(0) | 炎は麻帆良の地に踊る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
更新お疲れ様です。
いやー待ちわびてましたよ。

ここ数回、感想を送ってないですが…。
ゲームの方は千鶴の美味しいとこどりという形で決着のようですね。
野暮なことは聞かないとは、大人だなぁ千鶴。仮契約についてはまだ、気づいてない
ようなので次回どうなるか。アーティファクトの能力は? 気になることだらけですね。
しかも朝倉とも交友があるとは、でも操が来てからは問題行動ができなさそうだ。

では次回も楽しみにしてます。
Posted by アローン at 2007年11月27日 01:12
忘れてました。
開設一周年おめでとうございます。
Posted by アローン at 2007年11月27日 18:42
 どうも、デートの帰り際に後ろから抱きついて「俺・・・このままじゃ帰れねぇよ」と囁くノッティーです。

 最新話読みました。千鶴、やっちゃいましたねw千鶴の赤面サイコー!!!制服サイコー!!!はぁはぁ・・・、とまぁ続き楽しみにしてます。
 
 では最後に、開設一周年オメデトウございます。これからもがんばってくださいwノッティーでした。
Posted by ノッティー at 2007年11月28日 06:40
炎は麻帆良の地に踊るを、1話から読ませて貰ったのですが、9話の黄金の炎の話は、間違ってる気がするのですが・・・。
宗家が使えるのが神炎で、分家でも黄金は使った記憶があるのですが。
僕の記憶違いかもしれませんが・・・
Posted by 朧 at 2008年03月28日 21:30
年を跨いで此処まで更新がないと不安になってくる・・・。
復帰予定を告知してくれると長く待てます。
Posted by ぶっちゃけ at 2008年05月07日 19:17
確かに更新がないと不安です。
朧さんのいっている黄金の炎は、確か宗家なら使えて当たり前で、分家は昔は使えたが現在は使える程の力を持った人がいないだったような…
Posted by ωライス at 2008年05月19日 05:07
きっと続きがあることを!!!

風の聖痕の続きが見れなくなった以上
2次創作に期待するしか・・・!
Posted by 俺は信じているぞ at 2009年09月06日 15:07
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